登山報告

二週末分まとめて投稿します。

4月最初の週末は、ヒマラヤキャンプのトレーニングで鹿島槍ヶ岳東尾根に行ってきました!

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(東尾根最上部、第二岩峰を越えたあたり)

3日間の日程を確保していましたが、最終日の予報が悪く、1泊2日でのトレーニングとなりました。
東尾根は雪が少なく、また高温の影響で雪がズボズボ。
2日目は1時起床で行動し、できるだけ早い時間に行動を終えることを心がけました。
短いトレーニングでしたが、しっかりこなせたと思います。

またこの週末は、甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根にガイドで出かけました。今年はヒマラヤキャンプの選考以来、何度か登っています。

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金曜日に入山して七丈小屋に宿泊して、土曜日は暗いうちから出発して朝7時前に登頂しました。誰もいない甲斐駒ヶ岳の山頂をゆっくり楽しむことができました!

どこもそうですが、甲斐駒ヶ岳も雪の減りが早く、まるでGWのような感じです。しかし、刃渡りの少し先からは凍結箇所が続きますので、しっかりと装備しておでかけ下さい。七丈小屋もいつも通り営業しています。そして小屋から先は完全な雪山です。

今回印象的だったのが、刃渡りから見た麓の桜です。
特に真原の桜並木は見事でした!

桜はもうすぐ終わりますが、甲府盆地はいま桃源郷です。
山もいいですが、ぜひ桃色に染まる盆地の景色も見に来て下さい!


大スバリ沢奥壁&赤沢岳北西壁

久しぶりの投稿となりました。。。

先週末はこの冬一番のイベント、剱岳で面白いことをする計画でしたが、見事に天気に阻まれて中止。
雨が止んだあとの予報が良かったので、パートナーがかねてから目をつけていた、大スバリ沢奥壁と赤沢岳北西壁に行ってきました。

3月20日
朝3時過ぎに日向山のゲートを出発。誰にも会わないだろうと思ってましたが、途中で単独スキーヤーとスレ違いました。まだ朝の4時だっただけに、ちょっと怖かった。。。
前日までしっかり雨降りだったので、ワカンではなくスノーシューをチョイス。これが良かったです。

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素晴らしい雲海の中、屏風尾根をアプローチ。
上部は雪がしっかり締まってくれて、快調にスピードを上げて進むことができました。

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初日は偵察だけの予定だったけど、予定よりも早く着いたので早速クライミングへ。
ガスが出てきて壁への降り口がしばらく分かりませんでしたが、ガスの切れ間で何とか判別できたのでアプローチ。
待っていたのは、予想をはるかに越えた素晴らしい壁でした。

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午後になって時間も遅くなってきたので、一番近い右岩壁の右側のルートをクライミング。
取り付きたかったラインはベルグラではなく流水だったので、岩の多いラインで登りました。

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ところどころ脆い箇所はあるものの、おおむね硬くてプロテクションもしっかりしていて、快適なクライミングができました。

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稜線直下のベースも素晴らしいロケーションでした。

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3月21日
朝イチで赤沢岳北西壁に行きたかったのですが、ガスで視界不良。
しばらく待機してから出発。
ガスが晴れたら、素晴らしい風景が広がっていました。

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剱岳に向かって歩きながら、つくづく初日の雨が残念でなりませんでした。
まあこれだけは何を言っても仕方ないのですが。
下降路を探しながら進みました。

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山岳大系の通りにアプローチ。
沢に下りる場所で一回懸垂下降した以外はクライムダウンしましたが、絶対にミスはできない地形です。

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そしていよいよ姿を見せた北西壁は、それは素晴らしい姿で迎えてくれました。
夏は草付きが多くて不快という凹状ルートをチョイス。おそらくこの壁の中の一番の弱点です。
小さなハング超えを含めた、全体的には草付きとベルグラをつなげる高内容。

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1ピッチ目の花谷。
とにかく朝イチのジャンケンに勝利したことが全て(笑)
ランナウトする草付きとベルグラから最後は豪快なムーブでのハング超え。久しぶりに脳から物質が出てきました。

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2ピッチ目のパートナー。
このピッチも素晴らしかった。同じように草付きとベルグラをつなぐ内容。

この後はあまりいい写真がなく割愛しますが、全部で50m〜55mの4ピッチと、20m1ピッチのクライミングとなりました。
そして最後は赤沢岳山頂にフィニッシュ。本当に素晴らしい内容でした。

今回のパートナーは過去の文献などにもかなり目を通していますが、このあたりの冬の記録は本当に少ないようです。
それだけに、人の気配を感じない素晴らしいクライミングを楽しめました。
しかもこんなに近い場所に!というのが実感です。

まだまだ面白そうなラインがたくさんあるので、来シーズンも引き続き行ってみようと思います。


【ヒマラヤキャンプ2016】北鎌尾根合宿

ヒマラヤキャンプ2016の3月合宿は、3月5日〜9日で槍ヶ岳の北鎌尾根に行ってきました。

今回は、登山そのものを楽しむことがもちろんですが、お互いの登攀技術や生活技術の確認を行いました。
みんなそれぞれ異なったバックグラウンドで育っているので、いろいろな知恵を持ち寄った状態です。
いいものは盗み、間違っていたり危ないことは修正する作業が必要です。
そして夜は、テントであんな話、こんな話で盛り上がり、チームワークを高めていきます(笑)

行動予定としては、湯俣から北鎌尾根を登り、槍ヶ岳から表銀座を縦走して合戦尾根を下山でしたが、天候と予備日の兼ね合いで、北鎌を抜けた後は新穂高温泉にエスケープしました。

3月5日
葛温泉〜高瀬ダム〜名無沢避難小屋T.S
この日は小雨が降る中入山。林道をひたすら歩きました。
唐沢幕岩はかなり黒かったです。
少し早めの到着でしたが、夜間に雨に降られるのを嫌って避難小屋で1泊。

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3月6日
T.S〜湯俣〜千天出合〜P2〜4・5のコルT.S
翌日は早めの出発。
まずは湯俣の朽ちかけた橋を渡ります。

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そしてそのあとは渡渉。
渡渉の方法は各自の工夫に任せました。
経験者はそれなりに念入りな準備をしていたのが印象的でした。
中には作戦がうまく行かず、結局素足で行く強者も(笑)

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ちなみに僕はといえば。。。
二重靴のアウターだけ脱ぎ、インナーの上からビニールを二重で履きます。このビニールのうち、一枚は重量袋という分厚いビニールです。
ネオプレンソックスを履いているので、ネオプレンソックスとビニールに挟まれたインナーは濡れないはずです。
そして最後に大きめのネオプレンソックスを履いて、そのまま歩けるようにしました。

この方法、なかなか良かったです。

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渡渉は合計で10回もなく、水量も少なめで問題なく通過ができました。

無事に渡渉を終えた後はP2の尾根にとりつきます。
途中でFIX通過をまじえながら、順調に高度を上げていきます。

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北鎌尾根上に出て、4・5のコルで幕営。
テントを設営し終わった頃から天候が悪化し、翌朝にかけてまとまった雨になりました。

ちなみに、今回の食事はペミカン主体の鍋やカレーでしたが、角田が「人生をかけて作りました!」と宣言したペミカンは本当に上出来で、毎日満たされていました。おかげで5日間で太ってしまいました・・・。

3日目
T.S〜天狗の腰掛〜北鎌独標T.S
朝の準備が整うものの、雨のためしばらく待機。
雨が止んで天候が落ち着いた9時頃に出発。本来ならば北鎌平まで行く予定でしたが、ちょっと厳しそう。

予想通り雨によって雪がグズグズになって、非常に歩きづらい状況になっていました。

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雪に足をとられないよう、慎重に進みます。

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独標は稜線沿いに頂上まで。
この時は2チームに分かれて、スタカットとコンテをまじえての行動になりました。

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独標での一夜は、本当に贅沢な時間です。
今回もアライテント様にエアライズを提供していただきました。

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4日目
T.S〜槍ヶ岳〜飛騨沢〜穂高平
入山中一番の晴天のこの日に槍に向かいました。
しかし、天気予報によると、下界の最高気温がどこも20℃越え。しかも好天は今日のみで、明日以降はしばらく悪天の予報。もともと予備日は2日間しかなく、粘れない状況でもあり、槍を抜けた後は、新穂高温泉方面にエスケープすることにしました。

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この日は3人1パーティーで、ロープを繋いで同時行動。
途中に必ずランナーを入れたり、地形を使って行動する方法を伝えました。

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また場所によっては地形を使って、クライムダウンのサポートなどもやってみました。

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大槍はまた2パーティーに分かれてスタカットで登攀。
コンテからスタカットへの切り替えのタイミングをどこまで臨機応変にできるかがポイントでしたが、
結局は大声で怒鳴ってしまう結果となり・・・。これからしっかり頑張ってもらいましょう!

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最後は全員で笑顔の槍ヶ岳山頂!
各自の課題探しの北鎌だったかもしれません。

この日はこのあと飛騨沢を穂高平まで下山しました。

5日目
穂高平〜新穂高温泉
最終日は雨の中、新穂高に下りました。
下山後はマネージャーの前川たちに迎えに来てもらって葛温泉まで戻り、雪見温泉を楽しみました。

今回は各自にレポートを提出してもらいます。
今回学んだこと、反省点などを共有して、4月以降の合宿につなげたいと思います。


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