黒部横断 黒部の底

黒部横断連載?3回目です。
長文です。
しかも記事を2回に分けます。最初の記事は文章中心。次の記事は写真中心です。
2月25日
朝は曇っていたが、だんだんよくなる予報。
木の間から対岸にある黒部別山の姿も見ることができた。
DSCN0704.jpg

快適な雪庇下のテントを撤収して出発。ここから先は懸垂で下りるしかなさそうだ。
地図だけではどのように下っていいやらさっぱり分からない。
有視界で現場判断。でもなかなかうまくいかないものだ。
DSCN0712.jpg

「だいたいこのあたりかな?」
だれも確信的な判断はできない。オンサイトで下降する難しさ。荷物が重いだけに、失敗は許されない。
だんだん傾斜がきつくなってきた。
足元はすっぱり切れ落ちている。
どうやら岩壁の上に出てしまったらしい。
ここまで懸垂で2ピッチ下りてきてしまった。もうここを下りるしかない。
狭い場所からの懸垂。僕が下りて様子を見ることに。
バックアップをとって、慎重に下降。
さあここから、というところでもう一度ロープを手繰って下に落とす。
ロープはむなしく宙を舞っている。
どうも1ピッチでは足りないようだ。
仕方なく、5mほど根性で登り返して、そこにあった立ち木に支点をとって再度懸垂。
ロープはギリギリ下に届いていないが、フォールラインから5mくらい右側にブッシュが見える。
そこまでは届くと判断した。
下降開始。
下りはじめてしばらくして、身体が壁から離れた。
見た目以上に傾斜がある。
下りる前にもっとちゃんと考えておくんだった!
当然重荷に引かれて、ひっくり返りそうな体勢になる。ザックのバックアップが必要だった。うかつだった。初歩的なミス。
もうどうしようもない。
とにかくどんどん下る。
筋力には自身があるけど(笑)さすがに腹筋も限界に近い。身体も回転し始めた。
ザックの紐のせいで朦朧としてくる。
このままではヤバイ。。。
ザックを捨てるか?でも下は川が流れている!何とかするしかない。
それからは一瞬だった。腕っ節には自信あり。
30キロオーバーのザックを空中で外して、身体の前に持ってきて、
あらかじめつけておいたザックのセルフをとりあえずハーネスのランヤードに固定。これで開放された。
上で待っている2人は、最初その様子を笑いながら見てたらしい!
でも空中でくるくる回り始めてからヤバイと思ったらしく、さらにザックをおろした瞬間はまさかとも思ったとさ。。。でも動作があっという間だったと。
思い出に残る懸垂下降は続く。
ブッシュまでの水平移動が最悪。
進行方向が反重力に変わったとたん、荷物が動作を封じ込める。
必死に岩をつかみ、身体を左に動かし、ヒールフックやジャミングをきかせつつ片腕はレスト。
その繰り返しでじりじり進み、何とかアンカーとなり得る木の幹をつかむことに成功。
地獄のような時間がようやく終わった。
「バックアップちゃんととってくださいよ~!」
言うまでもなく、僕の様子を見てちゃんと準備をする上の2人。
2人目が下降。
バックアップ長すぎ!
DSCN0731.jpg

自分もこれよりひどい体勢だったと思うと、つくづく判断が甘かったと反省せざるを得ない。
3人目が下降して、さらに1ピッチ下降して黒部の底に降り立つ。
DSCN0735.jpg

長い下降がようやく終わった。
DSCN0720.jpg
下降した場所から上流側(横断した部分)
DSCN0738.jpg
下流側(正面は壁尾根)
黒部の底からの眺めは素晴らしい。
ここにいるだけで感動する。
圧倒的な迫力に、自分の存在のちっぽけさ、そして何か、本当にここにいていいのか。。。
そんな気にさせられる。
この日は大タテガビン第二尾根の1300m地点まで上がって幕営。
続いて次のエントリーはこの日の写真ばかりを集めてアップします。

ページのトップへ