黒部横断 黒部を目指して

2月22日は入山初日にふさわしい天気で、順調に進んだ。
翌23日からは天候は下り坂の予報。
朝早くにテントを撤収して鳴沢岳を目指す。
稜線はもなか状の雪で、ズボズボ埋まって歩きにくい。
だんだん天候が悪くなる中、鳴沢岳に到着。黒部に向かう下降路はすぐに見つかるが、吹き上げてくる風と雪で視界が奪われる。
一時間ほど我慢して進むと樹林帯。
やっと一息つくことができた。
しかし、後で知った話だけどこの日は春一番だったそうだ。
雪はどんどん降りしきり、あっという間に積もっていく。
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僕らが今回下降した尾根は、鳴沢岳から北北西方向に伸びている尾根だった。
過去に下降した記録は、ちゃんと調べてないのでよく分からないけど、新越沢の出合に出る尾根だ。
この尾根は大タテガビン第一尾根に取り付くには最短。
標高1600mあたりから黒部に向けて急降下しているが、そこから先のルート取りがポイントになりそうだ。
視界があったおかげで、ところどころポイントとなる分岐は見逃さずに通過。
1600m付近からところどころロープを出して1250m付近まで下降。
ウエアはこの頃すでに氷の鎧。
とっても湿った雪で、全てを凍りつかせる勢いで降っている。
さすがに雪がひどくなってきたので、テン場を探すことにした。
これ以上下降すると、もう黒部に下り切るしかない。
しかし、それにしてもひどい雪だった。
あっという間に20センチくらい積もってしまう雪。
普通にテントを張ったら、あっという間に埋没してしまう可能性があった。
しばらくテン場を探していたら、ちょうどおあつらえ向きの場所を発見。
巨大なキノコ雪の庇の下に、ぽっかりと空いたスペースがあった。
かなり大きな庇で丈夫そうだったので、その下を少し拡張。
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これで何とか安心して眠れそうな場所は確保できた。
その日の天気予報では、大雪に警戒するよう呼びかけていた。
北陸地方の山沿いでは一晩で80センチの積雪の予報。
まあでも、落ちつける場所は確保できたわけだから、じっくり粘りますかね。
2月24日は結局停滞。
富山県の入善町では高潮の被害もあった模様。日本中大荒れの一日だった。
僕らは動くことができず、一日中トランプですごした。
2年前のインドの日々を思い出す。あの時も、暇さえあれば4人でトランプしてたっけ。
それにしても、停滞って何にもしてないのに腹が減る。
夕方ごろから小降りになり始めたけど、累積の積雪は1m以上。
この夜、目標の大タテガビン第一尾根はあきらめることにした。
取り付きまでかなり長い時間ルンゼを登らなければならず、今の雪の状態ではとても突っ込めるはずもない。常識的な判断だった。
山のご機嫌を伺いながら、と思っていたけど、これだけ圧倒的に降られてしまうとどうしようもない。
明日はいよいよ黒部の底。
どんな世界が待っているのだろうか。

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