黒部横断 真砂尾根から剱岳頂上

3月3日
黄砂が降る予報。
天候もよくないとの予報だったが、意外にも視界が利いている。
これなら進めそうだ。
準備をして外に出てびっくり。
世界が黄色い。
サングラスのせいではない。
明らかに昨日の雪よりも黄色い。
長い間山に入ってると、こういう変化に敏感に気付くようになる気がするけど、この黄色は誰が見ても明らか。
またラッセル。
ついに「泳げたい焼き君」が頭の中をぐるぐる回るようになった。
毎日毎日・・・
擬似晴天だと思っていたけど、大きな崩れはなく内蔵助山荘まで進むことができた。
小屋のそばに雪洞を掘ってテント設営。
3月4日
完全に下山モード。
この日の午後から天気が悪くなるようだ。
いけるところまで行って雪洞でも掘ればいいかと思いつつも、気持ちは完全に剣を越えることしか頭になかった。
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別山から剱岳
昨日までは考えられなかった速さで進む。完全にスイッチが入っちゃった。
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剣御前小屋まで1時間半。
弥陀ヶ原に人影が見える。富山県警のようだ。冬山訓練で、入山している話は聞いていた。
早月尾根パーティーもいると聞いていたので、ひょっとしたら途中で会うかもしれないね、なんて話し合っていた。
天候はまだ大丈夫なようだ。
別山尾根をひたすら進む。
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幸い、雪の状態はよく、そんなに深くない。前剣の登りも、快適な雪に助けられて、あっという間に突破できた。
順調だ。
信じられない晴天の中、快調に進む。
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平蔵のコル
ここまで来て確信した。
剣は最後の最後だけは微笑んでくれたようだ。
カニの横ばいを慎重にこなし、もうすぐ山頂、と言うところで頭上に人の姿が。
何と、富山県警ではないか!
彼らも今日、登ってきようだ。
入山して10日あまり。初めて人の気配に触れた。
なんだか無性にうれしかった。
3人でしっかり肩を組んで写真を撮っていただいた。
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年末に苦労した早月尾根は、県警のトレースのおかげであっという間に下ることができた。
早月小屋で、久しぶりにぐっすりと眠ることができた。


コメント
  1. TOMO より:

    山や異国の写真が素晴らしくて、度々お邪魔しています。こんな雪山を眺めていると、これって本当に日本ですか??と聞きたくなるくらい、驚きの連続です。こんな所を歩いて行かれるのですね。凄い…。ところで、松本紀生さんという写真家の方をご存知でしょうか?その方はアラスカでオーロラを撮られているのですが、花谷さんと通じるところがあるかもしれませんね。

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